[最優秀賞]
鹿野護(デザイン工学専攻 映像研究領域)|大歳ノ島
宮城県出身
西村宜起ゼミ
体験型映像
万物に終いをもたらす畏怖なる時の流れ。人々はその流れを区切り、繰り返すことで、吉祥に変容させてきた。年に一度の島の習わし。三つの集落の若者達が、境界を越えて出会いし時。大歳ノ島は生まれ変わる。この作品は、昔話のルーツを紐解くように、架空の島の習わしを体験するフィールドワーク型ゲーム。オープンワールドとして構築された島の中を自由に散策でき、操作キャラクターも瞬時に切り替えられるシステムとなっている。
動画:大歳ノ島
酒井聡 デザイン工学専攻長/芸術工学専攻長 評
本作品は、ソフトウェア開発とコンピューターグラフィックスを融合した創作研究により、時間軸に沿った物語といったこれまで一般的であった映像表現に対して新たな表現方法を模索してきた集大成である。この世界は我々それぞれの視点と思考があり成立しているが、映像表現では単一の視点であることが多かった。もしくは視点を切り替えたとしても時間軸を分断させ統合せざるを得なかった。この点をゲームなどの手法を応用し様々な要因に影響しながらプログラム上で常に変化し、時間と視点の捉え方を変化させる表現として昇華している。また、作品の題材として、人々の暮らしの根底にある土着の文化や生業に着目した点においても本学大学院の研究と制作として相応しいものであると評価し、最優秀賞を授与する。加えて、本作品だけでなくその研究手法は映像領域に大きく影響するものであり、今後の研究創作活動にも期待したい。