[優秀賞]
福田ゆき|あいづべこ暮らしプロジェクト
檀上祐樹ゼミ
参加者(消費者)が酪農体験を通じて酪農の暮らしを見つめ、そこで感じたものを「表現」することで、酪農を生き方として捉え、ステークホルダーが酪農の場の可能性を見出すものです。
檀上祐樹 准教授 評
一次産業の衰退に問題意識を持ち、色んな試験的デザインが提案されている中、福田さんは福島の酪農と一般社会との距離を縮める試みを行った。その手法は消費者が酪農に接し、その感覚をアートで表現するというあまり類を見ない試みで、酪農の生産者と消費者の関係性をゆるやかにつないでくれた。話し合いの場を設定してワークショップを展開することが多いコミュニティデザインの世界を批判的に捉えた実験的な手法だった。何より評価したいのは、普段顔の見えない生産者と消費者の関係性を、このプロジェクトによって「親戚」のような関係性にシフトできたことだと思う。アートをツールとしたいい形で出たのだろう。酪農を職業ではなく、「暮らし」と定義し、酪農の技術に着目するのではなく、生活の風景に着目した点も面白い。この試みは一次産業を通じた多様な人のつながり方のデザインであり、社会への立派な提案として扱えると思う。優秀賞おめでとう!