成人式の現代的意義に関する一考察―コロナ禍を経ての展開―
晋道美和
山形県出身
松田俊介ゼミ
本研究では世間一般に通過儀礼として認識されている成人式について、成人式に関係のある団体と個人に聞き取り調査を行い、現在の日本社会でどのような役割があるのか、また、コロナ禍を経て今後どのように展開していくべきであるか考察したものである。
新庄市教育委員会のインフォーマントによれば、新庄市独自の成人式の目的として「新成人になったことを祝し、自覚を促し、地域を支える人材を育成する」というものが挙げられた。新庄市においては成人式で多くの成人が市外から再集結し、旧友と再会するというところから、成人式を開催することで地元を感じてもらい、そこにUターンの促進を期待していることが明らかになった。
写真スタジオや新成人のインフォーマントからは成人式に参加する新成人とその家族の成人式に対する姿勢を調査した。着用する振袖へのこだわりや前準備から、新成人が「なりたい自分像」を持っており、成人式がそれを表現する場として認識されているということが明らかになった。
以上の調査から、現行の成人式には「自己表現をする場としての役割」と「同窓会としての役割」があり、それを利用した事業や企画が展開されていることが明らかになった。
成人式の今後の展望としては、現行の成人式により多くの新成人からの意見集約や参加型の学習などを加えた「自主構築型の成人式」というものを本論文では提案している。多くの研究者が言及しているところである「通過儀礼としての成人式の形骸化」は現代の社会に合わない型にはめられた成人式であるがゆえのものであるため、こうして新たな意味を与えることで、意義ある式典として存続していくことが可能であると考える。